Japanese
English
症例報告
M蛋白血症を伴った全身性強皮症
A case of scleroderma with M proteinemia
田中 秀幸
1
,
水谷 仁
1
,
山上 温子
1
,
清水 正之
1
Hideyuki TANAKA
1
,
Hitoshi MIZUTANI
1
,
Atsuko YAMAKAMI
1
,
Masayuki SHIMIZU
1
1三重大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Mie University
キーワード:
全身性強皮症
,
M蛋白血症
,
インターロイキン−6
Keyword:
全身性強皮症
,
M蛋白血症
,
インターロイキン−6
pp.612-614
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901922
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55歳,女性.長期経過中,M蛋白血症が出現した強皮症患者を報告した.28歳より関節痛,浮腫性硬化が出現した.38歳時当科を初診し,近位端皮膚硬化,屈曲拘縮,舌小帯短縮を認め強皮症と診断された.D—ペニシラミン,ステロイド剤の投与にて,皮膚硬化は徐々に改善しつつあるが,発症より26年後,M蛋白が出現した.精査の結果,M蛋白はIgG—κ,サブクラスはIgG1であり,多発性骨髄腫などの悪性疾患を認めず,良性のM蛋白血症と診断した.ステロイドの増量に反応しM蛋白の減少を認めた.治療前後において患者培養末梢血単核球のインターロイキン−6(IL−6)産生能は増量前は正常人に比べて高値であったが,治療後は減少した.IL−6はB細胞の分化に関与するとされており,したがって,M蛋白の出現に関わっている可能性を示唆した.またscleromyxo—edemaとPOEMS症候群との鑑別,強皮症におけるIL−6の役割につき若干の文献的考察を加えた.
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