Japanese
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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
自己免疫疾患・膠原病・血管炎など
全身性強皮症に伴う小腸病変
Small intestinal lesions in systemic sclerosis (SSc)
平田 一郎
1
Ichiro Hirata
1
1大阪中央病院消化器内科
キーワード:
全身性強皮症
,
輪状ひだの密度
,
腸管拡張
Keyword:
全身性強皮症
,
輪状ひだの密度
,
腸管拡張
pp.612-613
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001386
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疾患の概要
全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)は皮膚,肺,心,腎,消化管など全身諸臓器の線維化をきたし,皮膚硬化を主徴とする自己免疫疾患(膠原病)である。発症に三つの病態〔①免疫異常で産生された自己抗体による組織の炎症,②炎症性サイトカインなどによる線維芽細胞の活性化,③血管障害(小血管内膜肥厚)〕の関与が推測されている。本症は30~50歳台の女性に好発する。SScの診断基準には,大基準「両側性の手指を超える皮膚硬化」,小基準 「①手指に限局する皮膚硬化,②爪郭部毛細血管異常,③手指尖端の陥凹性瘢痕/指尖潰瘍,④両側下肺野の間質性陰影,⑤抗トポイソメラーゼI抗体,抗RNAポリメラーゼⅢ抗体,抗セントロメア抗体のいずれかが陽性」などの症候があげられ,大基準あるいは小基準①および②~⑤のうち1項目以上を満たせばSScと診断する1)。SScは膠原病のなかで消化管病変の合併頻度が最も高く,食道,小腸,大腸,胃の順に多い。消化管症状には胸焼け,嚥下障害,腹部膨満感,腹痛,便秘,下痢に加え,高度の腸管蠕動運動低下では偽性腸閉塞や腸内細菌異常増殖による吸収不良症候群などがある。
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