Japanese
English
症例報告
動物との接触歴が明らかでなく真菌培養で確定診断に至ったMicrosporum canisによるケルスス禿瘡の1例
A case of kerion celsi caused by Microsporum canis without apparent history of animal contact and diagnosed by fungal culture
中村 かおり
1
,
福田 知雄
1
Kaori NAKAMURA
1
,
Tomoo FUKUDA
1
1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科
1Department of Dermatology, Saitama Medical University, Saitama Medical Center, Kawagoe, Japan
キーワード:
ケルスス禿瘡
,
Microsporum canis
,
イトラコナゾール
,
真菌培養
Keyword:
ケルスス禿瘡
,
Microsporum canis
,
イトラコナゾール
,
真菌培養
pp.1025-1028
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207457
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要約 9歳,男児.側頭部に鱗屑・痂皮を付す紅斑・びらんが生じ,前医では頭部湿疹の診断の元,ステロイド外用液が処方された.外用継続で皮疹は顔面に拡大し,頭部には脱毛斑が生じた.毛髪・皮膚のKOH直接鏡検と側頭部皮膚生検の病理組織検査ではいずれも真菌要素を確認できなかったが,毛髪と組織の真菌培養で真菌の発育を認めた.スライドカルチャーと分子生物学的同定法より原因菌をMicrosporum canisと同定し,臨床と合わせケルスス禿瘡と診断した.ペットの飼育歴はなく,明らかな動物との接触歴もなかった.治療はイトラコナゾール50 mg(2.3 mg/kg/日)を開始し,10週間で治癒した.明らかな動物などの感染源との接触はなくとも脱毛斑を伴う頭部湿疹,膿痂疹など他疾患を鑑別に考えさせる臨床像を呈する場合はKOH直接鏡検に加え,真菌培養をともに行うべきである.
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