Japanese
English
症例報告
片側顔面痙攣に対するA型ボツリヌス毒素製剤注射部位に生じた皮膚クリプトコッカス症の1例
A case of cutaneous cryptococcosis in a botulinum toxin type A injection site for hemifacial spasm
井土(小西) なつの
1
,
野呂 ケイ
2
,
小野木 裕梨
1
,
宿院 梨衣
1
,
渡邉 直樹
1
Natsuno KONISHI-IZUCHI
1
,
Kei NORO
2
,
Yuri ONOGI
1
,
Rie SYUKUIN
1
,
Naoki WATANABE
1
1公立陶生病院皮膚科
2順天堂大学医学部附属病院浦安病院皮膚科
1Division of Dermatology, Tosei General Hospital, Seto, Japan
2Department of Dermatology, Juntendo University Urayasu Hospital, Urayasu, Japan
キーワード:
皮膚クリプトコッカス症
,
原発性皮膚クリプトコッカス症
,
深在性真菌症
,
A型ボツリヌス毒素製剤
Keyword:
皮膚クリプトコッカス症
,
原発性皮膚クリプトコッカス症
,
深在性真菌症
,
A型ボツリヌス毒素製剤
pp.613-619
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207364
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要約 62歳,男性.右顔面神経麻痺後遺症による片側顔面痙攣のため4年前から右頰部に計7回のA型ボツリヌス毒素製剤の筋肉内注射を行った.1か月前から右頰部に圧痛を伴う紅斑と陥凹が出現し当科受診.病理組織学的検査で多核巨細胞を伴う肉芽腫と好中球浸潤があり,真皮深層にGrocott染色およびPAS染色陽性の菌体を多数確認し,皮膚クリプトコッカス感染症と診断した.イトラコナゾール100 mg/日を内服し症状改善したが,同部位に再発を繰り返したため200 mg/日へ増量し治癒に至った.病変は注射部位に一致しており,A型ボツリヌス毒素製剤の筋肉内注射を侵入門戸とした原発性皮膚クリプトコッカス症の可能性を考えた.調べえた限り注射部位に発生した原発性皮膚クリプトコッカス症は過去に4例報告されているが,ボツリヌス毒素注射部位に生じた報告は本症例が初であった.注射部位などの外傷部位に生じた難治性紅斑ではクリプトコッカス症も鑑別に診察することが必要と考えた.
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