Japanese
English
症例報告
ボリコナゾール内服中の肺移植患者に生じた多発有棘細胞癌と日光角化症の1例
A case of multiple squamous cell carcinoma and actinic keratosis in a lung transplant patient taking voriconazole
近藤 あきほ
1
,
野呂 ケイ
1,2
,
小野木 裕梨
1
,
渡邉 直樹
1
Akiho KONDO
1
,
Kei NORO
1,2
,
Yuri ONOGI
1
,
Naoki WATANABE
1
1公立陶生病院皮膚科
2順天堂大学医学部付属浦安病院皮膚科
1Division of Dermatology, Tosei General Hospital, Seto, Japan
2Department of Dermatology, Juntendo University Urayasu Hospital, Urayasu, Japan
キーワード:
脳死肺移植
,
ボリコナゾール
,
多発有棘細胞癌
,
日光角化症
Keyword:
脳死肺移植
,
ボリコナゾール
,
多発有棘細胞癌
,
日光角化症
pp.531-536
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207038
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要約 62歳,男性.初診4年前に特発性間質性肺炎に対して脳死肺移植を行った.移植6か月後に肺アスペルギルス症が生じボリコナゾール内服を開始した.1年前より頭部や顔面の露光部を中心に紅斑が出現した.その後,頭頂部に紅色結節が生じ当科受診した.病理組織では結節は有棘細胞癌,紅斑は日光角化症の診断であった.ボリコナゾールをイトラコナゾールに変更し,外科的切除およびイミキモド外用を開始したが,その後も新規病変が多発した.近年,ボリコナゾール内服中に多発有棘細胞癌と日光角化症が生じた報告が相次いでおり,本剤の関与が疑われている.また肺移植後は強力な免疫抑制剤を必要としそれ自体が皮膚癌のリスク因子となるが,肺アスペルギルス症を生じボリコナゾールの長期投与が必要となる場合がある.そのような症例ではさらに有棘細胞癌の発生リスクが高まるため,慎重な経過観察が必要である.
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