Japanese
English
症例報告
難治性抗ラミニンγ1類天疱瘡の1例
A case of intractable anti-laminin γ1 pemphigoid
片桐 正博
1,2
,
大竹 里奈
1
,
野老 翔雲
1
,
並木 剛
1
,
横関 博雄
1
,
船積 雅登
3
,
宮崎 安洋
3
,
古賀 浩嗣
4
,
石井 文人
4
Masahiro KATAGIRI
1,2
,
Rina OTAKE
1
,
Shown TOKORO
1
,
Takeshi NAMIKI
1
,
Hiroo YOKOZEKI
1
,
Masato FUNAZUMI
3
,
Yasuhiro MIYAZAKI
3
,
Hiroshi KOGA
4
,
Norito ISHII
4
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野
2北千住皮ふ科クリニック
3国立病院機構災害医療センター皮膚科
4久留米大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan
2Kitasenju Dermatology Clinic, Tokyo, Japan
3Divison of Dermatology, National Disaster Medical Center, Tachikawa, Japan
4Department of Dermatology, Kurume University School of Medicine, Kurume, Japan
キーワード:
抗ラミニンγ1類天疱瘡
,
抗Dsg1抗体
,
NUDT15遺伝子
,
アザチオプリン
Keyword:
抗ラミニンγ1類天疱瘡
,
抗Dsg1抗体
,
NUDT15遺伝子
,
アザチオプリン
pp.977-983
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207140
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 79歳,男性.1か月前より四肢主体に緊満性水疱が出現した.血液検査で抗Dsg1抗体陽性,抗Dsg3抗体・抗BP180抗体陰性であった.病理組織で好中球を伴う表皮下水疱,蛍光抗体直接法で表皮基底膜にIgGとC3の線状沈着を認めた.表皮抽出液を用いた免疫ブロット法は陰性で,真皮抽出液を用いた免疫ブロット法でIgGが200 kDa抗原(ラミニンγ1)に反応し,抗ラミニンγ1類天疱瘡と診断した.蛍光抗体法の所見から抗Dsg1抗体の病的意義は乏しいと考えた.ステロイド内服のみでは病勢抑制できず,ステロイドハーフパルスとアザチオプリン(AZA)の併用を要したが,経過中にAZAが一因と思われる高度白血球減少が生じ,AZAを中止した.以降慎重にステロイドを減量しているが,初診1.5年後現在,皮疹の再燃はない.一般的に抗ラミニンγ1類天疱瘡の治療経過は良いとされるが,自験例のように,複数の自己抗体が検出された場合は難治の可能性があるため,補助治療を検討する必要があると考えた.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.