Japanese
English
症例報告
ボリコナゾール内服中に生じた多発日光角化症の1例
A case of multiple actinic keratoses occurring during administration of voriconazole
谷口 江利菜
1
,
東郷 さやか
1
,
岡林 綾
1
Erina TANIGUCHI
1
,
Sayaka TOGO
1
,
Aya OKABAYASHI
1
1和泉市立総合医療センター皮膚科
1Division of Dermatology, Izumi-City General Hospital, Izumi, Japan
キーワード:
ボリコナゾール
,
光線過敏症
,
日光角化症
,
有棘細胞癌
,
紫外線
Keyword:
ボリコナゾール
,
光線過敏症
,
日光角化症
,
有棘細胞癌
,
紫外線
pp.137-141
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207204
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 70歳,男性.初診3年前に慢性進行性肺アスペルギルス症に対しボリコナゾール(VRCZ)の内服が開始された.VRCZ内服開始1年後から,禿頭部全体に小びらんや痂皮の形成を繰り返すようになった.皮膚生検を行い,日光角化症と診断した.VRCZの関与が疑われたが,難治性の肺アスペルギルス症のためVRCZの中止は困難で,イミキモド外用と遮光で経過をみた.イミキモド外用で皮疹は改善傾向だったが,外用開始7か月後に細菌性肺炎を併発し永眠された.VRCZは,その代謝物が紫外線を吸収し活性酸素を生じることで,表皮のDNAを損傷させ皮膚癌発症の起始に関わる作用と,VRCZそのものがCOX-2の転写活性を増強させて皮膚癌の進行を促進させる作用の2つを併せ持つと考えられている.VRCZ内服中に日光角化症を認めた際には,VRCZの中止が第一選択にはなるが,VRCZの中止が困難な際は,イミキモド外用や徹底的な遮光により,有棘細胞癌へ進行しないよう注意深く観察していく必要がある.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.