Japanese
English
症例報告
ボリコナゾール長期内服中に発症した有棘細胞癌と多発日光角化症の1例
A case of squamous cell carcinoma and multiple actinic keratosis occurred during long-term administration of voriconazole
篠倉 美理
1
,
光井 聖子
1,2
,
山﨑 修
1
,
森実 真
1
Minori SASAKURA
1
,
Seiko MITSUI
1,2
,
Osamu YAMASAKI
1
,
Shin MORIZANE
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学分野
2笠岡市民病院皮膚科
1Department of Dermatology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan
2Division of Dermatology, Kasaoka City Hospital, Kasaoka, Japan
キーワード:
ボリコナゾール
,
光線過敏症
,
日光角化症
,
有棘細胞癌
Keyword:
ボリコナゾール
,
光線過敏症
,
日光角化症
,
有棘細胞癌
pp.887-891
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206182
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要約 73歳,男性.4年前に肺アスペルギルス症の治療のためボリコナゾールを内服開始した.2年前から頭部,顔面,両手背に角化性の丘疹,紅斑が多発した.病理組織所見は,顔面は有棘細胞癌,頭部・手背は日光角化症であった.ボリコナゾール内服中止とイミキモド外用により皮疹は改善した.ボリコナゾールは,その代謝物が紫外線を吸収して活性酸素を産生し,表皮のDNA損傷を惹起する.さらにボリコナゾールそのものがCOX-2の転写活性を誘導することで発癌を促進させる可能性が示されており,長期内服中に光線過敏症状を経て日光角化症,有棘細胞癌を生じうる.ボリコナゾールの光線関連皮膚障害は本邦ではまだ報告が少ないものの,十分な遮光指導を受けていない肺アスペルギルス症の患者に多い.ボリコナゾール内服患者には具体的な遮光指導と慎重な皮膚症状の経過観察を行うことで,光線関連皮膚障害を最小限に抑えることが期待できる.
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