Japanese
English
症例報告
下腿のcalcific myonecrosisの1例
A case of calcific myonecrosis of the lower leg
加藤 寿香
1
,
臼井 真理子
1
,
平井 彩
2
,
石河 晃
3
Hisaka KATO
1
,
Mariko USUI
1
,
Aya HIRAI
2
,
Akira ISHIKO
3
1JCHO東京高輪病院皮膚科
2JCHO東京高輪病院形成外科
3東邦大学医学部皮膚科学講座
1Division of Dermatology, Tokyo JCHO Takanawa Hospital, Tokyo, Japan
2Division of Plastic Surgery, Tokyo JCHO Takanawa Hospital, Tokyo, Japan
3Department of Dermatology, School of Medicine, Toho University, Tokyo, Japan
キーワード:
前脛骨筋
,
下腿腫瘤
,
calcific myonecrosis
,
異所性石灰化
,
異栄養性石灰化症
Keyword:
前脛骨筋
,
下腿腫瘤
,
calcific myonecrosis
,
異所性石灰化
,
異栄養性石灰化症
pp.167-171
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206901
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要約 94歳,男性.72年前,左膝関節を銃弾が貫通した.左下腿は温存されたが,腓骨神経麻痺が生じ左足が下垂したため,ギプス固定し左足関節を意図的に拘縮させた.今回,当科初診1週間前に左下腿前面の腫脹を指摘された.初診時左下腿前面外側に腫脹,軽微な発赤を認めた.皮下には波動を触れ,微細な骨様硬の凹凸の硬結を触知した.左下腿単純X線にて脛骨前面に紡錘形の石灰化像あり,CTにて本来前脛骨筋があるべき場所に石灰化した壁に囲まれた低吸収域がみられた.波動部を穿刺したところ多量の茶褐色混濁液がみられ,培養は陰性であった.経過,画像所見より下腿のcalcific myonecrosisと診断した.本疾患は外傷やコンパートメント症候群発生後に数十年かけて筋肉が異所性に石灰化する疾患である.稀な疾患だが,下腿腫脹にて皮膚科を受診する可能性がある.本疾患において切開は二次感染を引き起こす可能性が高く,感染徴候がある場合を除き,経過観察が望ましいと思われる.
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