Japanese
English
症例報告
チオ硫酸ナトリウム静注が有効であったcalciphylaxisの1例
A case of calciphylaxis successfully treated with intravenous sodium thiosulphate
黒田 ケイ
1
,
早川 彰紀
2
,
渡邉 直樹
1
Kei KURODA
1
,
Akinori HAYAKAWA
2
,
Naoki WATANABE
1
1公立陶生病院皮膚科
2しみずやま皮フ科クリニック
1Division of Dermatology, Tosei General Hospital, Seto, Japan
2Division of Dermatology, Shimizuyama Skin Clinic, Nagoya, Japan
キーワード:
calciphylaxis
,
チオ硫酸ナトリウム
Keyword:
calciphylaxis
,
チオ硫酸ナトリウム
pp.773-778
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206782
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要約 74歳,女性.64歳時に原発性副甲状腺機能亢進症から続発した高カルシウム血症により慢性腎不全となり,70歳より維持透析中であった.また持続性心房細動に対してワルファリンを内服していた.初診2か月前に自宅にて転倒,大腿部を打撲,それを契機に大腿に皮下硬結が出現し急速に拡大した.強い疼痛と黒色壊死を伴うようになり,精査加療目的で当院転院となった.厚生労働省の診断基準案のうち臨床的特徴3項目を満たしcalciphylaxisと診断した.入院後よりワルファリンの内服を中止し,潰瘍部は外用療法とデブリードマンを継続していたが効果に乏しく,当院の倫理委員会の承認を得てチオ硫酸ナトリウムの静注投与を開始した.徐々に疼痛は軽快し,壊死組織の減少,赤色肉芽の形成がみられた.Calciphylaxisは致死率の高い疾患であるため,感染予防を徹底し,チオ硫酸ナトリウムを含めた積極的な治療が重要と考えた.
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