Japanese
English
症例報告
潰瘍病変が下半身の広範囲に拡大し,死の転帰をたどったcalciphylaxisの1例
A case of calciphylaxis, whose ulcerative lesions extended to the lower body, resulting in misfortune outcome
佐々木 駿
1
,
猿田 祐輔
1
,
渡辺 秀晃
1
,
末木 博彦
1
Shun SASAKI
1
,
Yusuke SARUTA
1
,
Hideaki WATANABE
1
,
Hirohiko SUEKI
1
1昭和大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Showa University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
calciphylaxis
,
血液透析
,
下腿潰瘍
,
有痛性潰瘍
,
チオ硫酸ナトリウム
Keyword:
calciphylaxis
,
血液透析
,
下腿潰瘍
,
有痛性潰瘍
,
チオ硫酸ナトリウム
pp.175-181
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205323
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要約 67歳,女性.30歳頃に尿蛋白を指摘され,42歳時に慢性糸球体腎炎による腎不全のため血液透析を導入した.初診5か月前にアキレス腱断裂を契機として車いす生活となった.その後,両大腿屈側に小潰瘍が出現し,大腿伸側にまで潰瘍が拡大したため,腎臓内科から当科へ紹介された.初診時,両大腿伸側に痂皮を伴う皮膚潰瘍が多発し強い疼痛を伴っていた.血液検査所見は,血清リン値高値,カルシウム,intact PTHは基準値内であった.病理組織学的に真皮深層の細動脈にKossa染色陽性のカルシウム沈着が認められcalciphylaxisと診断した.治療として,骨ミネラル代謝異常の管理,プロスタグランジン製剤やチオ硫酸ナトリウムの投与,外用療法とデブリードマンを行った.しかし,潰瘍は徐々に拡大し,敗血症を併発して発症から9か月後に永眠された.本症は,チオ硫酸ナトリウムなど有効な治療法の報告はあるが,いまだ確立されたものはなくさらなる検討を要すると考える.
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