特集 代謝異常症・沈着症
チオ硫酸ナトリウムが皮膚潰瘍の進行抑制に有効だったCalciphylaxisの1例
氏野 由理
1
,
木村 浩
,
岡本 芳伸
,
松下 貴史
,
濱口 儒人
,
竹原 和彦
,
伊藤 清亮
,
平野 郁代
1金沢大学附属病院 皮膚科
キーワード:
カルシフィラキシー
,
抗感染剤
,
生検
,
多剤併用療法
,
皮膚潰瘍
,
Alendronate
,
Cinacalcet
,
Prednisolone Hemisuccinate
,
Sodium Thiosulfate
,
Lanthanum Carbonate
Keyword:
Cinacalcet Hydrochloride
,
Anti-Infective Agents
,
Calciphylaxis
,
Biopsy
,
Drug Therapy, Combination
,
Skin Ulcer
,
Alendronate
,
Sodium Thiosulfate
,
Prednisolone Hemisuccinate
,
Lanthanum Carbonate
pp.1230-1234
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016355244
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57歳男。疼痛を伴う両下腿の紫斑と皮膚潰瘍を主訴とした。慢性腎不全で維持透析中であった。9ヵ月前に右大腿後面に拇指頭大の潰瘍が出現し、下肢全体や臀部に地図状に拡大した。潰瘍は一部が壊疽し、疼痛を伴っていた。入院後、CTで全身の動脈壁に石灰化を認め、潰瘍部の皮膚生検で動脈の内弾性板にカルシウムの沈着を認め、calcipylaxisと診断した。発熱と炎症反応高値があり、抗菌薬やプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムで改善した。その後も皮膚潰瘍が拡大したため、チオ硫酸ナトリウムを投与した。さらにカルシウム・リン値の調整のためシナカルセト塩酸塩、炭酸ランタン、アレンドロン酸ナトリウムを投与した。チオ硫酸ナトリウムの投与後、疼痛が改善し、皮膚潰瘍の拡大が停止した。また、骨シンチグラフィでカルシウム集積の低下が認められた。しかし、入院後75日に胆石胆嚢炎による敗血症性ショックと肝不全で死亡した。
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