Japanese
English
症例報告
部分消退により特異な臨床像を呈した基底細胞癌の1例
A case of basal cell carcinoma with spontaneous regression presenting an unusual clinical manifestation
福士 花恋
1
,
滝吉 典子
2
,
松井 彰伸
1
,
福井 智久
1
,
相樂 千尋
1
,
六戸 大樹
1
,
中島 康爾
1
,
中野 創
1
,
澤村 大輔
1
Karen FUKUSHI
1
,
Noriko TAKIYOSHI
2
,
Akinobu MATSUI
1
,
Tomohisa FUKUI
1
,
Chihiro SAGARA
1
,
Daiki ROKUNOHE
1
,
Koji NAKAJIMA
1
,
Hajime NAKANO
1
,
Daisuke SAWAMURA
1
1弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座
2青森県立中央病院皮膚科
1Department of Dermatology, Hirosaki University Graduate School of Medicine, Hirosaki, Japan
2Division of Dermatology, Aomori Prefectural Central Hospital, Aomori, Japan
キーワード:
基底細胞癌
,
部分消退
,
CD8+細胞
Keyword:
基底細胞癌
,
部分消退
,
CD8+細胞
pp.727-732
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206771
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要約 82歳,女性.数年前より前額部左側に皮疹が出現し徐々に拡大,楕円形の褐色局面を形成後にさらに形状が変化した.初診時,L字状の濃い褐色局面とその下方に淡い褐色局面が連続してみられ,L字で挟まれた部分は萎縮していた.L字状の局面からの生検で基底細胞癌と診断し,全切除術を行った.臨床所見が異なる3か所を組織学的に検討したところ,各々の病変は腫瘍が消退していく段階的変化を反映していると推測された.すなわち,L字状の局面は消退現象の活動期,萎縮部は晩期の組織学的所見に合致しており,淡い褐色局面はそれらの移行期であると考えた.さらに,L字状の病変では,腫瘍胞巣周囲にCD8+細胞優位の炎症細胞浸潤がみられたため,自験例の腫瘍の消退にはCD8+細胞が関与していると考えた.本邦における基底細胞癌の消退例の報告は少ないものの,臨床所見のみではなく組織学的に検討すると,より多くの症例で消退所見を確認できる可能性がある.
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