Japanese
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症例報告
カイロの長期貼付による温熱性紅斑から有棘細胞癌を生じた1例
A case of squamous cell carcinoma arising from erythema ab igne due to long-term use of disposable heat packs
伊藤 まどか
1
,
福屋 泰子
1
,
鈴木 瑞穂
1
,
石黒 直子
1
Madoka ITOH
1
,
Yasuko FUKUYA
1
,
Mizuho SUZUKI
1
,
Naoko ISHIGURO
1
1東京女子医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tokyo Women's Medical University, Tokyo, Japan
キーワード:
カイロ
,
温熱性紅斑
,
有棘細胞癌
,
thermal keratosis
Keyword:
カイロ
,
温熱性紅斑
,
有棘細胞癌
,
thermal keratosis
pp.721-725
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206769
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要約 80歳,男性.S状結腸過長症で腸切除を施行した後,慢性便秘となり,46年間連日腹部にカイロを貼付していた.当初カイロ貼付部に紅斑が出現していたが,次第に持続性の紅褐色斑となり,1年前より同部位に結節が出現したため当科を受診した.初診時,腹部の両側に手掌大で一部に網状構造を呈する萎縮性の黒褐色斑があり周囲に淡紅褐色斑を認めた.右腹部の黒褐色斑内には紅色局面があり,表面顆粒状の紅色結節を伴っていた.病理組織所見では,結節部で異型性の強い表皮細胞の腫瘍性増殖がみられ,結節部周囲の紅色局面はactinic keratosis様の所見を呈した.結節部は有棘細胞癌,紅色局面はthermal keratosisと診断した.紅色局面を全摘し,術後15か月の現在再発なし.長期間にわたる過剰な暖房器具や温熱製品の使用は,温熱性紅斑からthermal keratosisを生じ有棘細胞癌に進展する可能性があるため注意が必要である.
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