Japanese
English
症例報告
特発性後天性全身性無汗症と尋常性白斑を同時期に発症した1例
A case of simultaneous occurrence of acquired idiopathic generalized anhidrosis and vitiligo vulgaris
髙木 杏子
1
,
齊藤 華奈実
1
,
梅木 真由子
1
,
後藤 瑞生
1
,
佐藤 俊宏
2
,
西田 陽登
3
,
駄阿 勉
3
,
波多野 豊
1
Kyoko TAKAKI
1
,
Kanami SAITO
1
,
Mayuko UMEKI
1
,
Mizuki GOTO
1
,
Toshihiro SATO
2
,
Haruto NISHIDA
3
,
Tsutomu DAA
3
,
Yutaka HATANO
1
1大分大学医学部皮膚科学講座
2いいそらヒフ科クリニック
3大分大学医学部診断病理学講座
1Department of Dermatology, Oita University Faculty of Medicine, Yufu, Japan
2Iisora Dermatological Clinic, Oita, Japan
3Department of Diagnostic Pathology, Oita University Faculty of Medicine, Yufu, Japan
キーワード:
特発性後天性全身性無汗症
,
尋常性白斑
,
自己免疫疾患
Keyword:
特発性後天性全身性無汗症
,
尋常性白斑
,
自己免疫疾患
pp.651-656
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206752
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要約 16歳,男性.既往歴にアトピー性皮膚炎,3親等以内に尋常性白斑が2人いる.X−1年12月頃より運動時の全身の発汗低下と手掌の代償性発汗過剰を自覚し,同時期に両手背から両前腕に白斑が出現したため前医より当科に紹介初診.温熱ミノール法では減汗〜無汗部と発汗部がモザイク状に分布し,減汗〜無汗部と白斑部が重複している箇所を認めた.無汗部では薬剤性発汗誘発試験で発汗誘発できず,同部の病理組織では汗腺・導管周囲のリンパ球浸潤を認めた.血液検査上,甲状腺ホルモン正常,抗アセチルコリン受容体抗体を含む各種自己抗体は陰性であった.尋常性白斑を合併した特発性後天性全身性無汗症(acquired idiopathic generalized anhidrosis:AIGA)と診断した.汗腺におけるM3受容体の低下は認めなかった.AIGAと尋常性白斑に共通の自己免疫的機序を予想したが,本症例では少なくともM3受容体は共通抗原ではないと考えられた.AIGA,尋常性白斑ともにその詳しい自己免疫的機序は明らかになっておらず,新たな原因自己抗体を解明するためにも今後の症例の蓄積が望まれる.
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