マイオピニオン
基礎研究と臨床研究の面白さ
氏家 英之
1
Hideyuki UJIIE
1
1北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室
pp.576-577
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206737
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1. はじめに
自己免疫性水疱症は表皮細胞間や表皮基底膜部の蛋白に対する自己抗体によって生じる自己免疫疾患で,ほとんどの病型で標的抗原が明らかになっています.「自己抗体が抗原に結合し水疱ができる」という一見シンプルに見える病態ですが,実際には謎が多く解決すべき課題が山積しています.私はこれまで自己免疫性水疱症,特に水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)の研究に携わってきました.BPは研究すればするほど奥が深く,自己抗体や補体,好中球,好酸球,好塩基球,肥満細胞,Tリンパ球など多くの要素が入り乱れて混沌としています.そして最近ではDPP-4阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬なども絡んできてカオス状態になっていますが,これらのピースをうまく組み合わせることで病態解明や新たな治療戦略に結び付く可能性があり,面白さを感じています.私がこれまで自己免疫性水疱症研究を通じて感じたことを徒然なるままに書き記したいと思います.
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