Japanese
English
症例報告
水酸化カリウムによる広範囲化学熱傷の1例
A case of extensive chemical burn caused by potassium hydroxide
桑折 信重
1
,
松立 吉弘
1
,
岡﨑 秀規
1
,
定本 靖司
1
Nobushige KOHRI
1
,
Yoshihiro MATSUDATE
1
,
Hidenori OKAZAKI
1
,
Yasushi SADAMOTO
1
1愛媛県立中央病院皮膚科
1Division of Dermatology, Ehime Prefectural Central Hospital, Matsuyama, Japan
キーワード:
化学熱傷
,
水酸化カリウム
Keyword:
化学熱傷
,
水酸化カリウム
pp.403-408
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206698
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要約 45歳,男性.水酸化カリウム溶液(濃度10.3%)を運搬中に転倒し曝露した.受傷現場では脱衣・洗浄は施行されず,受傷80分後に前医で脱衣・洗浄が施行された後,当院に搬送された.軀幹前面,腰臀部,下肢を中心とした約55%の受傷面積で,表面は緑褐色調を呈していた(Ⅲ度49%,burn index 52).皮膚・眼表面ともにpH8.5以上であり,搬送直後より計150分間シャワー洗浄を行った.翌日からベッドサイドでのデブリードマンを開始し,自家培養表皮(ジェイス®)植皮術を含めた複数回の手術により救命しえた.自験例は,初期治療の遅れにより搬送時に既に深部への組織損傷を示唆する緑褐色変化を認めたが,受傷翌日からデブリードマンを開始し,早期にジェイス®を用いた植皮術を実施したことで救命できた.自験例のような広範囲化学熱傷を経験することは稀であるが,初期対応について熟知し,深部への組織損傷が疑われる場合には早期に外科的治療を計画する必要がある.
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