消化器症状が先行し，軽微な皮膚症状を契機に診断した小児のIgA血管炎の2例

Two pediatric cases of IgA vasculitis with preceding gastrointestinal manifestations diagnosed by minor cutaneous manifestations

症例1：3歳，女児。症例2：5歳，女児。腹痛，血便が生じ，CTや内視鏡検査で十二指腸，小腸主体の炎症所見を認めたことからIgA血管炎が疑われた。プレドニゾロンを開始後に軽微な皮膚症状が生じ，組織所見よりIgA血管炎と確定診断できた。消化器症状の軽快後，プレドニゾロンは漸減中止した。経過中，関節症状や腎症状は生じなかった。IgA血管炎では消化器症状が皮膚症状の出現に先行することはまれではない。われわれ皮膚科医が消化器症状先行例を最初に診察する機会は少ないと思われるが，皮膚症状出現時，特に典型的な皮疹を呈さない場合には，小児であっても生検を躊躇せず確定診断に結びつけることが求められる。