Japanese
English
症例報告
ヨツユビハリネズミから感染したTrichophyton erinaceiによる手白癬の1例
A case of tinea manuum due to Trichophyton erinacei transmitted from a four-toed hedgehog
鈴木 里香
1
,
木庭 幸子
1
,
名取 達矢
2
,
林 宏一
3
,
奥山 隆平
1
Rika SUZUKI
1
,
Yukiko KINIWA
1
,
Tatsuya NATORI
2
,
Koichi HAYASHI
3
,
Ryuhei OKUYAMA
1
1信州大学医学部皮膚科学教室
2信州大学医学部附属病院臨床検査部
3松本歯科大学病院皮膚科
1Department of Dermatology, Shinshu University School of Medicine, Matsumoto, Japan
2Department of Laboratory Medicine, Shinshu University Hospital, Matsumoto, Japan
3Department of Dermatology, Matsumoto Dental University Hospital, Shiojiri, Japan
キーワード:
白癬
,
Trichophyton erinacei
,
ハリネズミ
,
白癬疹
Keyword:
白癬
,
Trichophyton erinacei
,
ハリネズミ
,
白癬疹
pp.153-158
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206273
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 35歳,女性.ヨツユビハリネズミの飼育歴がある.初診2週間前から左手に痒みを伴う紅斑が出現した.ステロイド外用で改善せず,左鼻下,左耳介,左前腕,右手,右膝にも紅斑が出現した.初診時,左手に鱗屑や小水疱を伴う紅斑を認めた.同部の直接鏡検で菌糸と分節胞子を認めた.巨大培養では乳白色粉状のコロニーを形成した.スライドカルチャーでは球状〜洋梨状の小分生子を認めたが,大分生子やらせん体は確認できなかった.リボソームRNA遺伝子のD1/D2領域およびβ-tubulinの塩基配列から,分離菌をTrichophyton erinaceiと同定した.テルビナフィン塩酸塩125mg/dayの内服とテルビナフィン塩酸塩クリーム1%の外用を行い,皮疹は改善した.左前腕の紅斑のみ治療開始後に悪化したが,ステロイド外用で治癒した.左手以外の顔面や四肢の皮疹は,片側性ではあるが,白癬疹と考えた.強い炎症を伴う手白癬では,好獣性の皮膚糸状菌を疑い,動物との接触歴を聴取すべきである.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.