Japanese
English
症例報告
Exophiala xenobioticaによる黒色菌糸症の1例
A case of phaeohyphomycosis caused by Exophiala xenobiotica
水橋 覚
1
,
金子 彰良
1
,
城野 剛充
1
,
平原 信雄
2
,
矢口 貴志
3
,
牧野 公治
1
Satoru MIZUHASHI
1
,
Akira KANEKO
1
,
Takamitsu JONO
1
,
Nobuo HIRAHARA
2
,
Takashi YAGUCHI
3
,
Koji MAKINO
1
1国立病院機構熊本医療センター皮膚科
2自由が丘病院
3千葉大学真菌医学研究センター
1Division of Dermatology, National Hospital Organization Kumamoto Medical Center, Kumamoto, Japan
2Jiyugaoka Hospital, Kumamoto, Japan
3Medical Mycology Research Center, Chiba University, Chiba, Japan
キーワード:
Exophiala xenobiotica
,
黒色菌糸症
,
リボゾームRNA遺伝子ITS領域解析
Keyword:
Exophiala xenobiotica
,
黒色菌糸症
,
リボゾームRNA遺伝子ITS領域解析
pp.999-1002
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206207
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要約 86歳,男性.精神科病院に入院中.2か月来の左第1指間の排膿を伴う皮下結節で受診した.全摘生検の結果,病変内部に褐色,有壁性の菌糸性菌要素と連鎖する円形細胞がみられ,黒色菌糸症と診断した.当初起因菌は,培養検査で褐色の有壁菌糸とフラスコ形の分生子形成細胞がみられ,Exophiala dermatitidisが疑われた.術後イトラコナゾール1日200mgを5か月間投与した.遺伝子学的診断の結果より起因菌は致死性の低いE. xenobioticaと同定され,肉眼的に再発は認めなかったため,治癒と判定した.黒色菌糸症の場合,培養検査のみでは起因菌の同定に至らない場合があるが,リボゾームRNA遺伝子ITS領域解析によってより正確に菌種を同定することができる.場合により抗真菌薬投与期間の短縮に貢献しうると考えられる.
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