Japanese
English
症例報告
ステロイド投与中に生じたExophiala oligospermaによる黒色菌糸症の1例
A case of phaeohyphomycosis caused by Exophiala oligosperma during systemic corticosteroid treatment
山崎 由里子
1
,
川島 秀介
1
,
若林 正一郎
1
,
岩澤 真理
2,3
,
丸 裕吾
1
,
矢口 貴志
3
,
松江 弘之
1
Yuriko YAMAZAKI
1
,
Shusuke KAWASHIMA
1
,
Seiichiro WAKABAYASHI
1
,
Mari IWASAWA
2,3
,
Yugo MARU
1
,
Takashi YAGUCHI
3
,
Hiroyuki MATSUE
1
1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学
2きさらづ皮膚科クリニック
3千葉大学真菌医学研究センター
1Department of Dermatology, Chiba University Graduate School of Medicine, Chiba, Japan
2Kisarazu Dermatology Clinic Kisarazu, Japan
3Medical Mycology Research Center, Chiba University, Chiba, Japan
キーワード:
黒色菌糸症
,
phaeohyphomycosis
,
Exophiala oligosperma
,
テルビナフィン
Keyword:
黒色菌糸症
,
phaeohyphomycosis
,
Exophiala oligosperma
,
テルビナフィン
pp.157-164
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206582
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要約 63歳,女性.2001年に関節リウマチとSjögren症候群の診断.間質性肺炎と肺高血圧症合併のため,プレドニゾロン13mg/日を維持量として長期間内服していた.2011年10月に転倒して左膝に擦過傷を受傷し,その1か月後に左下腿に膿疱が多発した.膿疱部の皮膚生検で真皮に感染性肉芽腫がみられ,その内部に淡褐色でPAS染色陽性の有隔壁性菌糸を認めた.生検組織片を接種した真菌培養で茶褐色フェルト状の集落が発育し,スライドカルチャーで菌糸側壁より出芽した楕円形の分生子を認めた.ITS領域の解析により原因菌をExophiala oligospermaと同定した.テルビナフィン125mg/日による内服治療を開始したところ皮疹は改善傾向であったが,治療開始から4か月後に肺高血圧症の増悪により患者は逝去した.E. oligospermaによる黒色菌糸症の治療は抗真菌薬や全摘出術,温熱療法が有効とする報告があるが確立されたものはなく,症例に応じて治療法を選択する必要がある.
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