Japanese
English
症例報告
リナグリプチン内服中に生じた限局性類天疱瘡の1例
A case of localized pemphigoid associated with linagliptin
宮下 加奈子
1
,
梶原 一亨
1
,
尹 浩信
1
,
石井 文人
2
,
橋本 隆
3
Kanako MIYASHITA
1
,
Ikko KAJIHARA
1
,
Hironobu IHN
1
,
Norito ISHII
2
,
Takashi HASHIMOTO
3
1熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座
2久留米大学医学部皮膚科学教室
3大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学
1Department of Dermatology and Plastic Surgery, Faculty of Life Sciences, Kumamoto University, Kumamoto, Japan
2Department of Dermatology, Kurume University School of Medicine, Kurume, Japan
3Department of Dermatology, Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka, Japan
キーワード:
限局性水疱症
,
リナグリプチン
,
BP230リコンビナント蛋白
,
BP180NC16a
Keyword:
限局性水疱症
,
リナグリプチン
,
BP230リコンビナント蛋白
,
BP180NC16a
pp.865-869
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206178
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要約 71歳,男性.1か月前より右下腿に限局した紅斑を伴わない1〜2cm大の緊満性水疱が出現.採血では好酸球上昇を認め,血中抗BP180抗体は陰性であった.病理組織像にて表皮下水疱および真皮浅層の血管周囲に好酸球の浸潤を認め,蛍光抗体直接法で基底膜にIgG,C3が沈着し,蛍光抗体間接法(spilt skin法)で表皮側に40倍以上で陽性であった.また,免疫ブロット法では230kD,180kD蛋白陽性であったが,BP180NC16a部位には反応を認めなかった.リナグリプチンを内服していたためDPP-4阻害薬による限局性類天疱瘡と診断し,薬剤中止にて症状は軽快した.水疱性類天疱瘡には限局した部位に水疱を生じるもの,結節,痒疹,汗疱様皮疹を呈するものなどさまざまな亜型がある.また,近年DPP-4阻害薬に関連した水疱性類天疱瘡が多数報告され,DPP-4阻害薬関連の水疱性類天疱瘡ではBP180NC16a抗体陰性,紅斑はあまり伴わず水疱・びらんが主体の臨床像と報告されており,自験例も同様の臨床所見を呈していた.
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