Japanese
English
症例報告
中毒疹様皮疹を呈した血管芽球性T細胞リンパ腫の1例
A case of angioimmunoblastic T-cell lymphoma presenting with toxicoderma-like eruptions
足立 英理子
1
,
島 香織
1
,
山上 優奈
1
,
一ノ名 晶美
1
,
古賀 玲子
1
,
吉川 義顕
1
Eriko ADACHI
1
,
Kaori SHIMA
1
,
Yuna YAMAGAMI
1
,
Masami ICHINONA
1
,
Reiko KOGA
1
,
Yoshiaki YOSHIKAWA
1
1公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kitano Hospital, the Tazuke Kofukai, Medical Research Institute, Osaka, Japan
キーワード:
血管芽球性T細胞リンパ腫
,
angioimmunoblastic T-cell lymphoma
,
中毒疹
,
リンパ節生検
Keyword:
血管芽球性T細胞リンパ腫
,
angioimmunoblastic T-cell lymphoma
,
中毒疹
,
リンパ節生検
pp.431-436
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206076
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要約 65歳,男性.初診8日前に発熱で前医を受診した.抗菌薬を投与したが改善せず,四肢体幹に紅斑が出現したため,当院を紹介され受診した.血液検査でフェリチン,sIL-2Rの著明高値を認め,悪性リンパ腫や成人Still病を疑い,皮疹からは薬疹などの中毒疹も鑑別診断に挙げた.皮膚生検では表皮基底層の空胞変性と血管周囲の炎症細胞浸潤を認め,明らかな異型リンパ球の浸潤は認めなかった.画像検査で多発性のリンパ節腫大を認め,腫大した左腋窩のリンパ節生検では,既存の構造が不明瞭となり,比較的大型のCD3,CD4,CXCL13陽性の異型細胞を認めた.以上の所見から,中毒疹様皮疹を呈した血管芽球性T細胞リンパ腫と診断した.皮疹はステロイド内服で速やかに消退した.皮疹のみから血管芽球性T細胞リンパ腫の診断に至ることは困難であるが,中毒疹の鑑別診断として,薬疹,ウイルス疹,感染症の他にも悪性リンパ腫を挙げ,sIL-2Rの測定や画像診断,リンパ節生検が必要となる症例があることが示唆された.
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