Localized Involutional Lipoatrophyの1例

Localized Involutional Lipoatrophy

51歳，女性。半年前に右上腕伸側の皮膚陥凹に気づいた。同部位に注射や外傷の既往はなかった。MRIでは，T1・T2強調画像で筋には達しない皮膚の陥凹を認めた。陥凹辺縁より皮膚生検を実施したところ，病変部の皮下脂肪織は健常部に比べて小型の脂肪細胞で構成され，炎症細胞の浸潤はなく，毛細血管増生を伴っていた。以上の所見より，localized involutional lipoatrophyと診断した。Localized involutional lipoatrophyは特徴的な病理組織学的所見を示すことから独立疾患として扱われているが，その報告数は少なく，原因や誘因についても明らかになっていない。発症機序の解明のためにもlocalized involutional lipoatrophyを疑った場合は病変部位への注射や外傷の既往などを中心に問診し，さらに症例を蓄積する必要がある。