Japanese
English
症例報告
左上肢に生じたNocardia brasiliensisによるリンパ管型原発性皮膚ノカルジア症の1例
A case of primary lymphocutaneous nocardiosis due to Nocardia brasiliensis on the left upper limb
安藤 はるか
1
,
山内 輝夫
1
,
北見 由季
1
,
末木 博彦
1
,
五ノ井 透
2
Haruka ANDO
1
,
Teruo YAMAUCHI
1
,
Yuki KITAMI
1
,
Hirohiko SUEKI
1
,
Toru GONOI
2
1昭和大学病院皮膚科
2千葉大学真菌医学研究センター
1Department of Dermatology, Showa University Hospital, Tokyo, Japan
2Medical Mycology Research Center, Chiba University, Chiba, Japan
キーワード:
高齢者
,
外傷
,
蜂窩織炎
,
ミノサイクリン
Keyword:
高齢者
,
外傷
,
蜂窩織炎
,
ミノサイクリン
pp.815-820
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205532
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要約 82歳,男性.左肘頭に擦過傷を負った1か月後,受傷部に紅色結節が出現,その後左上腕に紅斑が拡大し当科を受診した.左肘頭に25×15mmの排膿を伴う隆起性紅色結節,左上腕に軽度圧痛を伴う鶏卵大の硬結性紅斑を認めた.病理組織学的に非特異的化膿性肉芽腫像を認めたが,組織内に菌成分はなかった.生検組織の細菌および真菌培養で乾燥性白色集落が得られ,遺伝子検査でNocardia brasiliensisと同定した.呼吸器症状はなく,リンパ管型の原発性皮膚ノカルジア症と診断した.ミノサイクリン200mg/日を37日間内服し治癒した.本邦報告例61例を検討したところ,本症は65歳以上の高齢者の男性に多く,基礎疾患や免疫抑制剤の使用がない例が半数以上を占めた.起因菌はN. brasiliensis,臨床型はリンパ管型が圧倒的に多かった.本症は菌種により薬剤感受性も異なるため,確実に同定を行うことが重要である.
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