Japanese
English
症例報告
バルプロ酸ナトリウム3年7か月内服後に生じた薬剤性過敏症症候群の1例
A case of drug-induced hypersensitivity syndrome that occurred after taking sodium valproate for three years and seven months
山口 卓
1
,
岡田 悦子
1
,
中村 元信
1
Takashi YAMAGUCHI
1
,
Etsuko OKADA
1
,
Motonobu NAKAMURA
1
1産業医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu, Japan
キーワード:
バルプロ酸ナトリウム
,
薬剤性過敏症症候群
,
サイトメガロウイルス
Keyword:
バルプロ酸ナトリウム
,
薬剤性過敏症症候群
,
サイトメガロウイルス
pp.771-776
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205522
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要約 68歳,女性.3年7か月前よりバルプロ酸ナトリウム(以下,バルプロ酸),フェニトイン,フェノバルビタールを内服していた.初診9日前より発熱を伴い体幹に紅斑が出現し,肝機能障害も認めた.パッチテストでバルプロ酸に陽性を示し,全血からHHV6-DNAを検出し,バルプロ酸を原因とする薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)と診断した.ステロイドパルス療法を行い皮疹は改善していたが,発症から約25週後にサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)再活性化による皮膚潰瘍を生じた.バルプロ酸によるDIHSの報告は本邦と海外合わせて9例ときわめて少ない.また自験例ではバルプロ酸の内服期間が3年7か月と過去の報告例に比して長かった.バルプロ酸は他の抗てんかん薬で薬疹を生じた際に代替薬として用いられることも多いが,交差反応も含めバルプロ酸による二次的な薬疹を起こす危険性があり,注意を要する.
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