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増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018
3.新しい検査法と診断法
壊死性筋膜炎と蜂窩織炎の鑑別におけるプロカルシトニン値の有用性
Utility of serum procalcitonin level for early discrimination between necrotizing fasciitis and cellulitis
高橋 一夫
1
Kazuo TAKAHASHI
1
1国際医療福祉大学熱海病院皮膚科
1Department of Dermatology, International University of Health and Welfare, Atami, Japan
キーワード:
重症細菌感染
,
敗血症
,
バイオマーカー
,
LRINECスコア
Keyword:
重症細菌感染
,
敗血症
,
バイオマーカー
,
LRINECスコア
pp.83-87
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205390
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summary
プロカルシトニン(procalcitonin:PCT)は敗血症等の重症細菌感染症で上昇しその重症度との相関が認められる.皮膚科領域では診断が難しいにもかかわらず早期診断が求められる壊死性筋膜炎に対して,重症蜂窩織炎との鑑別にPCTがよいバイオマーカーにならないか興味が持たれている.このことに対する報告はまだ少なく2016年にKatoらは,PCTのカットオフを5.88ng/mlとすると感度・特異度は100%となり,LRINEC(laboratory risk indicator for necrotizing fasciitis)スコアより有効と報告した.われわれも壊死性筋膜炎1例,入院加療を要した蜂窩識炎18例でPCTを測定したところ,壊死性筋膜炎例はPCT値7.74ng/mlで18例の蜂窩識炎は全例5.0ng/ml以下であった.一方,PCTは以前より非感染性病態でも上昇することが指摘されていたが,最近ではマクロファージ活性化症候群,成人Still病,さらには横紋筋融解症でも上昇することが示されている.壊死性筋膜炎の診断は,PCT値を参考にしつつ緻密な臨床的観察のもと,LRINECスコアや画像診断も含め複眼的解釈によってなされることが肝要と考えられる.
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