特集 新しい時代の小児感染症
各論:感染臓器別
皮膚・軟部組織感染症
蜂窩織炎,壊死性筋膜炎
五十嵐 成
1
IGARASHI Naru
1
1埼玉県立小児医療センター小児救命救急センター
pp.566-571
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000845
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はじめに
皮膚軟部組織感染症は,外来で経過が追える軽症の疾患群から,敗血症となり致死的となる疾患群まで臨床的なスペクトラムが広い。感染症の原則に従っての治療を考えるうえで,大事なポイントは2つである。第1に起因菌,第2に病変の深さである。第1のポイントである起因菌は,大部分はグラム陽性球菌のStaphylococcus aureusかStreptococcus pyogenes(Group A Streptococcus:GAS)である。一般的な臨床経過をたどる場合には第1世代セフェム系抗菌薬で治療し困ることはほとんど経験しない。しかし,病変の部位,宿主の年齢や免疫能,曝露の仕方(咬傷や汚染)によっては,想定されうる起因菌が変化することは知っておく必要がある。第2のポイントである病変の深さは,診断と重症度の推定,起因菌の推定に大切である(図1)。
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