Japanese
English
症例報告
神経内分泌腫瘍による脂肪壊死症の合併が考えられたTrousseau症候群の1例
A case of Trousseau syndrome caused by hepatic neuroendocrine tumor, presenting with the pathological findings of fat necrosis
熊谷 宜子
1
,
泉 映里
1
,
髙江 雄二郎
1
,
金田 義弘
2
Yoshiko KUMAGAI
1
,
Eri IZUMI
1
,
Yujiro TAKAE
1
,
Yoshihiro KANEDA
2
1済生会横浜市南部病院皮膚科
2済生会横浜市南部病院消化器内科
1Division of Dermatology, Saiseikai Yokohamashi Nanbu Hospital, Yokohama, Japan
2Division of Gastroenterology, Saiseikai Yokohamashi Nanbu Hospital, Yokohama, Japan
キーワード:
Trousseau症候群
,
脂肪壊死
,
悪性腫瘍
,
神経内分泌腫瘍
,
血栓症
Keyword:
Trousseau症候群
,
脂肪壊死
,
悪性腫瘍
,
神経内分泌腫瘍
,
血栓症
pp.995-1000
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204930
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要約 66歳,男性.初診の1か月前より発熱,両下腿の有痛性紅色結節が出現し,徐々に大腿部・前腕に拡大した.下腿の結節の病理組織像では,真皮中層の静脈血栓の多発と周囲のリンパ球,好中球の浸潤,膿瘍形成を認め,脂肪組織にも壊死像を伴っていた.細菌,真菌,抗酸菌培養は陰性であった.当院内科にて,神経内分泌腫瘍で精査中だった.悪性腫瘍に伴う多発血栓症と考え,Trousseau症候群と診断し,脂肪壊死症の合併も疑った.血栓に対して抗凝固療法や原病の治療が検討されたが,患者の希望がなく無治療の方針であり,貧血も伴い,いずれの治療法も選択できなかった.ステロイド投与を試みたところ,結節の新生はなくなり,自覚症状も改善した.悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進による血栓症で,他の血栓傾向を呈する疾患が除外されたものをTrousseau症候群という.皮膚科領域での報告は少なく,担癌患者の皮膚症状の鑑別疾患となりうる.
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