臨床経験
卵巣癌による非細菌性血栓性心内膜炎に対し3回の僧帽弁手術を行ったTrousseau症候群
齊藤 政仁
1
,
朝野 直城
,
太田 和文
,
新美 一帆
,
田中 恒有
,
権 重好
,
高野 弘志
1獨協医科大学附属越谷病院 心臓血管外科・呼吸器外科
キーワード:
再手術
,
MRI
,
卵巣腫瘍
,
卵巣摘出術
,
経食道心エコー図
,
僧帽弁形成術
,
心内膜炎-非感染性
,
Trousseau症候群
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Ovarian Neoplasms
,
Ovariectomy
,
Reoperation
,
Echocardiography, Transesophageal
,
Mitral Valve Annuloplasty
,
Endocarditis, Non-Infective
pp.1067-1071
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017239786
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52歳女性。視覚障害と発熱を主訴に近医を受診、MRIにて多発性脳梗塞を認め、紹介となった。心原性脳梗塞を疑い、心エコーを行なったところ、僧帽弁後尖に疣贅の付着と中等度の僧帽弁逆流を認め、感染性心内膜炎(IE)と診断された。抗生剤投与により炎症所見は改善傾向がみられたが、疣贅の縮小はみられず、僧帽弁形成術の施行となった。術後11日目に新たな多発脳梗塞と、経食道心エコーで疣贅付着を認め、IEの再燃と診断し、再手術の施行となった。更に再手術後42日目には左総腸骨静脈以下の深部静脈血栓症と急性肺塞栓症をきたし、IVCフィルター留置時のCTにて骨盤腔を占拠し、急速拡大する巨大腫瘤を認め、卵巣癌と診断された。以上より、再発する心内膜炎であるも、培養検査は陰性で、全身の血栓形成を認めることから、本症例は卵巣癌より引き起こされた非細菌性心内膜炎(NBTE)と診断された。心臓手術と卵巣癌の同時手術はハイリスクと判断し、僧房弁手術後に卵巣腫瘍の摘出が行われた。術後は経過良好で、初回手術から148日目に独歩退院となった。
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