Japanese
English
症例報告
HTLV-1キャリアに生じた皮膚原発型未分化大細胞リンパ腫と考えられた1例
A case of primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma in an asymptomatic carrier of HTLV-1
熊谷 宜子
1
,
泉 映里
1
,
田中 千洋
2
,
髙江 雄二郎
1
Yoshiko KUMAGAI
1
,
Eri IZUMI
1
,
Chihiro TANAKA
2
,
Yujiro TAKAE
1
1済生会横浜市南部病院皮膚科
2ちひろ皮ふ科クリニック
1Division of Dermatology, Saiseikai Yokohama-shi Nanbu Hospital, Yokohama, Japan
2Chihiro Dermatology Clinic, Yokohama, Japan
キーワード:
未分化大細胞リンパ腫
,
成人型T細胞白血病/リンパ腫
,
CD30
,
ステロイド
Keyword:
未分化大細胞リンパ腫
,
成人型T細胞白血病/リンパ腫
,
CD30
,
ステロイド
pp.623-629
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205166
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要約 65歳,女性.当科初診10日前,左頰に虫刺様皮疹を自覚し,ステロイド外用で加療されたが改善がなく,周囲に浸潤を伴った潰瘍になったため,精査加療目的で当科を受診した.左頰部に径14mmで,中央に壊死組織を付着する潰瘍を認め,周囲径29mmの範囲で発赤を伴った.初診時の生検病理組織像で,真皮浅層から深層にかけて,異型の強いリンパ球浸潤を認めた.免疫染色で浸潤するリンパ球はCD4優位に陽性で,CD30も一部陽性,ALK,EBERは陰性だった.血清抗HTLV-1抗体が陽性であったが,皮膚サザンブロット法ではHTLV-1プロウイルスのモノクローナルな組み込みはなく,皮膚型成人型T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATLL)とは確定診断できなかった.PETで左頰部のみに集積を認め,HTLVキャリア患者に生じた皮膚原発型未分化大細胞リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)と考えた.ステロイド投与,局所紫外線療法で瘢痕治癒した.自験例でのATLLとALCLの完全な鑑別は困難で,今後も経過観察を要する.
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