Japanese
English
症例報告
皮膚B細胞性偽リンパ腫の1例
A case of cutaneous B-cell pseudolymphoma
市村 知佳
1
,
江野澤 佳代
1
,
石河 晃
2
Chika ICHIMURA
1
,
Kayo ENOSAWA
1
,
Akira ISHIKO
2
1東京高輪病院皮膚科
2東邦大学医学部皮膚科学講座(大森)
1Division of Dermatology, Tokyo Takanawa Hospital, Tokyo, Japan
2Department of Dermatology, Toho University Omori Medical Center, Tokyo, Japan
キーワード:
皮膚B細胞性偽リンパ腫
,
多発
,
浸潤性紅斑
,
顔面
Keyword:
皮膚B細胞性偽リンパ腫
,
多発
,
浸潤性紅斑
,
顔面
pp.897-902
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204908
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要約 76歳,男性.初診3か月前より両耳前部に瘙痒を伴う皮疹が出現した.初診時,浸潤のある暗赤色斑が多発し局面を形成していた.クロベタゾン酪酸エステル軟膏やタクロリムス軟膏を外用したが改善しなかった.病理組織学的に表皮直下にgrenz zone,真皮浅層優位の濾胞構造を認め,付属器の破壊はなかった.構成細胞は大小不同のリンパ球で,形質細胞,組織球,tingible body macrophageを認めた.免疫組織学的に濾胞内にCD79a,膠原線維間にCD3陽性細胞を優位に認めた.Bcl-2は濾胞辺縁部に,CD10,Bcl-6,Ki-67は胚中心部で優位に陽性だった(Ki-67 index;70%以上).サザンブロット法によるTCR,IgHの遺伝子再構成は認めなかった.以上から皮膚B細胞性偽リンパ腫と診断した.初診から2年半後の皮疹は自然消退傾向であった.顔面に浸潤性紅斑が多発する非典型的な臨床像であり,悪性リンパ腫と鑑別あるいは移行に常に注意が必要な症例と考えた.
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