Japanese
English
症例報告
頭部脂腺母斑に有棘細胞癌,基底細胞癌と毛芽腫を併発した1例
A case of squamous cell carcinoma, basal cell carcinoma and trichoblastoma coexisting in a nevus sebaceus on the scalp
伊東 可寛
1
,
小林 孝志
1
,
白樫 祐介
1
,
五味 博子
1
,
早川 和人
1
Yoshihiro ITO
1
,
Takashi KOBAYASHI
1
,
Yusuke SHIRAKASHI
1
,
Hiroko GOMI
1
,
Kazuhito HAYAKAWA
1
1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科
1Department of Dermatology, Teikyo University Medical Center, Ichihara, Japan
キーワード:
有棘細胞癌
,
基底細胞癌
,
脂腺母斑
,
脱毛斑
,
併発
Keyword:
有棘細胞癌
,
基底細胞癌
,
脂腺母斑
,
脱毛斑
,
併発
pp.307-312
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204375
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要約 72歳,男性.幼少期より後頭部に脱毛斑があり掻痒感を自覚して掻破を繰り返していた.半年前より徐々に皮疹が隆起して結節を形成した.初診時,後頭部に径2cmの広基有茎性の角化性紅色結節が,その基部の小結節が癒合し辺縁に黒色斑を伴う径1cmの局面に覆い被さるように隣接して認めた.病理組織像では各々有棘細胞癌と基底細胞癌の所見を認めたが,両腫瘍間に連続性はなかった.また毛芽腫の所見もみられ,脱毛部は脂腺や毛囊が消失し,奇形的な毛囊や真皮の線維化を認め,脂腺母斑と考えた.腫瘍辺縁から1cm離して帽状腱膜上で切除し,分層植皮術を施行した.術後はペプロマイシン硫酸塩筋注を計85mg施行し,術後9か月の時点で再発転移を認めない.脂腺母斑は加齢によって腫瘍の発生母地となり,複数の腫瘍を生じることがある.時に悪性腫瘍の続発もあり,脂腺母斑に対して診断時に早期切除を考慮する必要がある.
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