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連載 皮膚病理の電顕・7
皮膚病理の電顕・皮膚結合織の病変(Ⅶ)—コロイド変性(1)〜(3)
Professor and Chairman in Dermatology, Wright State University School of Medicine
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Wright State University School of Medicine
pp.656-660
発行日 1979年7月1日
Published Date 1979/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202093
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コロイド変性(1)
図15 膠様稗粒腫.皮膚のコロイド変性には膠様稗粒腫(colloid milium)と局面型コロイド変性(colloid plaque)の2型を区別している.後者は稀であり,結節型(nodular)あるいは腫脹型(tume-factive)のアミロイド症と混同されている可能性もある1,2),前者は顔面,耳,手背などの日光照射部位に好発し,特に米国南部の老人(白人)に稀でない.臨床像は半透明,アメ色の集簇した丘疹が局面を作る.メスを入れると"コロイド"状の半透明な物質を圧出することができる.図15Cにみられる如く,コロイド圧出後の皮膚は萎縮を示す.自覚症状は全くないが,時に皮下出血斑を示す.これは血管周囲の支持組織が破壊され,軽度の打撲などにより血管の破綻が容易に起こるためである.鑑別診断には日光性弾力線維症(actinicelastosis),ザルコイド,L型癩などを考慮する必要がある.
本症が長期にわたる紫外線の照射により起こることは間違いない.おそらく真皮に到達し,結合織の変性を惹起する3)UV-A (320〜400nm)のためであろう.紫外線が病因の重要な因子であると考えられる理由は,本症がi)日光照射部位に限定して起こること,ii)メラニンによる防御の少ない白人に多いこと,iii)屋外労働者で中年以後に好発すること,などが挙げられる.筆者が報告した症例4)の1人は白人のタクシー運転手であったが,左ハンドルの米国車で左顔,左手甲が長年月,紫外線に曝露され,これらの部位が右顔,右手甲に比較してより広範な,高度の病変を示していた.
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