連載 皮膚病理の電顕・10
皮膚結合織の病変(X)—皮膚ヒアリノーシス(3)〜(5)
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Wright State University School of Medicine
pp.948-952
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202133
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皮膚ヒアリノーシス(3)
図26 図の左右に血管が切れている.左側の構造を毛細管と同定するのに困難はない.すなわち周皮細胞(P),2〜3コの内皮細胞(E),管腔内の赤血球(R)などが区別でき,その大きさを考慮に入れれば皮膚の毛細管の特徴を具えている1).ただ基底板(B)がこのクラスの血管にしては異常に肥厚している.これは血管周囲に沈着したヒアリンが基底板にも浸潤したものか,血行を介して運ばれた異常物質が内皮細胞の間隙(曲矢)を通過して血管外に排出されつつある像なのか不明である.
このようなヒアリン物質が血管周囲を完全に取り巻き,遂に内皮細胞の壊死を惹起したのが右の血管と考えられる.この構造が血管であった証拠として,多数の同心円状の基底板(矢尻)が内皮細胞の消失した中心部へ向って陥凹しているからである.この像は内皮細胞の破壊と再生が起こる度に1枚ずつ増えて来た基底板が,遂に再生しなくなった内皮細胞の占めていたスペースへ陥入したのか,再生しつつある内皮細胞が未だ現れないのかのいずれかであろう.
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