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文献紹介 爪上皮のWntシグナル活性が爪の成長と指の再生を結びつける
安田 文世
1
1慶應義塾大学
pp.353
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103953
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マウスなどの哺乳類では切断された指趾の先端が再生することが知られている.本論文では爪の幹細胞が爪母の近位側に存在することを証明するとともに,爪への分化に関わる細胞内機構であるWntシグナルが指趾の再生にも関与していることが示された.すなわち,指趾切断時にはWntシグナルの活性化により爪が再生し,さらに間葉系細胞からなる芽体の成長を促進させる末梢神経を引き寄せることで指趾の再生へとつながるというものである.そして,Wntシグナル活性化状態の爪前駆細胞よりも近位側での指趾切断では爪も指趾も再生しないものの,Wntシグナルの活性化において重要なメディエーターであるβカテニンを安定化させるといずれも再生することが示された.以上より,爪の幹細胞が指趾の再生に直接関わっていることが示されたことで,切断指趾を再生させる新たな治療法の開発が今後期待される.
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