最新基礎科学/知っておきたい
Wntシグナル伝達と骨形成
岸田 昭世
1
,
菊池 章
1
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科探索医科学講座分子細胞情報学研究室
pp.544-549
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100312
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■はじめに
Wnt(ウイント)は,ショウジョウバエの体節形成を制御する遺伝子winglessと,マウスの乳癌関連遺伝子int-1との相同性に着目して命名された分泌性糖蛋白質ファミリーで,線虫やショウジョウバエから,両生類,哺乳類に至るまで生物種を越えて広く保存されている24).Wntが細胞膜受容体に結合して活性化する細胞内シグナル経路は,細胞の増殖や分化,初期発生時の体軸形成や体節形成,器官形成に必須である.近年,Wntシグナル伝達経路の構成因子の1つであるLRP5の遺伝子変異が骨粗鬆症を伴う偽神経膠腫(OPPG)の原因となることや,Wnt/β-カテニンのシグナルが軟骨細胞や骨細胞の分化を制御することなどが明らかにされ,整形外科的分野との関連が注目されている.
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