Japanese
English
症例報告
全禿頭,多発性囊腫を伴ったビタミンD依存性くる病II型の1例
A case of vitamin D dependent rickets type II with complete atrichia and multiple epithelial cysts
宗次 太吉
1
,
春山 興右
1
,
伊藤 えりか
1
,
大久保 佳子
1
,
高河 慎介
1
,
沢田 泰之
1
,
濱崎 洋一郎
2
Takichi MUNETSUGU
1
,
Kousuke HARUYAMA
1
,
Erika ITO
1
,
Yoshiko OKUBO
1
,
Shinsuke TAKAGAWA
1
,
Yasuyuki SAWADA
1
,
Yoichiro HAMASAKI
2
1都立墨東病院皮膚科
2獨協医科大学皮膚科
1Division of Dermatology,Tokyo Metropolitan Bokutoh Hospital,Tokyo,Japan
2Department of Dermatology,Dokkyo Medical University,Tochigi,Japan
キーワード:
ビタミンD依存性くる病II型
,
ビタミンDレセプター
,
禿頭
,
多発性囊腫
,
遺伝子異常
Keyword:
ビタミンD依存性くる病II型
,
ビタミンDレセプター
,
禿頭
,
多発性囊腫
,
遺伝子異常
pp.517-522
発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103335
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要約 54歳,男性.出生後より下肢骨発育障害があった.出生時は毛髪を認めたが,乳児期に汎発性脱毛となった.20歳頃より全身に大豆大までの小結節が多発,時に排膿するため当科を受診した.初診時,汎発性脱毛に加え眉毛もほぼ脱落し,睫毛も粗であった.また全身に半球状に隆起する小結節が散在していた.低身長で下肢骨は彎曲短縮し,大脳基底核の石灰化を認めた.前腕からの皮膚生検では真皮中層に小型の囊腫を認め,囊腫内は角質が層状に充満していた.壁は重層扁平上皮から成り,大部分は顆粒層を認めなかった.脱毛,くる病症状,一般検査所見からビタミンD依存性くる病II型と考え遺伝子検索を行ったところ,VDR遺伝子の異常が判明した.同症は禿頭が特徴的であるが,近年囊腫を合併した報告も散見される.VDR遺伝子異常により,リガンド非依存性に毛周期を障害する機構が明らかになってきている.
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