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特集 最近のトピックス 2006 Clinical Dermatology 2006
1. 最近話題の皮膚疾患
タキサン製剤による強皮症様皮膚硬化
Taxane-induced scleroderma mimicking systemic sclerosis
伊藤 宗成
1
,
簗場 広一
1
,
中川 秀己
1
Munenari ITOH
1
,
Koichi YANABA
1
,
Hidemi NAKAGAWA
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
1Department of Dermatology,The Jikei University School of Medicine
キーワード:
タキサン
,
docetaxel
,
paclitaxel
,
皮膚硬化
,
全身性強皮症
Keyword:
タキサン
,
docetaxel
,
paclitaxel
,
皮膚硬化
,
全身性強皮症
pp.13-18
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100584
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要約 タキサン製剤投与により,強皮症に類似した皮膚硬化をきたした2例を報告する.2例ともに転移性乳癌に対しタキサン製剤を投与され,皮膚硬化に先行して著明な浮腫を認め,半年から1年の経過ののちに四肢遠位端を中心に皮膚硬化を認めた.病理組織学的にも真皮全層に及ぶ線維化と膠原線維束の膨化,血管周囲の単核球を主とした細胞浸潤を認め,臨床経過,組織像ともに全身性強皮症と類似していた.しかし,免疫学的異常やRaynaud現象などの全身性強皮症に特徴的な症状を欠いていた.この皮膚硬化は,薬剤投与中止後も遷延する傾向があった.タキサン製剤がこの病態形成に深く関与している可能性が高いが,いまだ報告例が少なく,その機序は不明である.しかし,この病態は患者のQOLを著しく損なうおそれがあり,今後タキサン製剤の普及に伴い遭遇する機会も多くなると考えられる.
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