Japanese
English
症例報告
肺癌を合併し,急速な強皮症様の手の皮膚硬化を認めた1例
Rapid progression of sclerosis of the hands in a patient with lung cancer
前田 梓
1
,
石黒 直子
1
,
近藤 亨子
1
,
速水 千佐子
1
,
川島 眞
1
,
長岡 深雪
2
,
川口 鎮司
3
Azusa MAEDA
1
,
Naoko ISHIGURO
1
,
Kyouko KONDO
1
,
Chisako HAYAMI
1
,
Makoto KAWASHIMA
1
,
Miyuki NAGAOKA
2
,
Shinji KAWAGUTI
3
1東京女子医科大学皮膚科学教室
2東京女子医科大学呼吸器内科
3東京女子医科大学膠原病内科
1Department of Dermatology,Tokyo Women's Medical University,Tokyo,Japan
2Department of Pulmonology,Tokyo Women's Medical University,Tokyo,Japan
3Department of Rheumatology,Tokyo Women's Medical University,Tokyo,Japan
キーワード:
全身性強皮症
,
皮膚硬化
,
肺癌デルマドローム
Keyword:
全身性強皮症
,
皮膚硬化
,
肺癌デルマドローム
pp.1031-1034
発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102766
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 59歳,男性.初診の半年前より肩・股関節の運動制限,4か月前より手指の硬化が出現した.当院内科を受診し抗核抗体,特異抗体は陰性であったが,全身性強皮症を疑われプレドニゾロン(PSL)10mg/日を開始したが軽快せず,硬化の急速な進行を認め当科を受診した.手指から手背にかけて著明な皮膚硬化を認め,右手指は屈曲拘縮していた.そのほかの部位には皮膚硬化はなく,Raynaud症状,爪上皮の出血点,舌小帯の短縮は認めなかった.病理組織で真皮下層に強く膠原線維の膨化がみられた.精査で肺腺癌stageⅣ(TXN3M1)を認めた.化学療法開始1か月後も手指の拘縮が進行し,PSL 20mg/日を併用した.3か月後に肺原発巣が著明に縮小し,その後,皮膚硬化の進行は停止し,5か月後より軽快傾向にある.通常の全身性強皮症とは異なり急速な進行を示したことから,肺腺癌のデルマドロームとしての皮膚硬化と考えた.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.