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病院より女性外来をやるように仰せつかって,2003年の11月から他の女性医師とともに月に2回外来に出ている.女性外来は本来は「性差を意識した医療」ということで,女性特有の症状の出方,検査値の特徴などをわかったうえで診療を行っていくということを目標にするが,私の場合,現在のところ月2回の外来で,通常の皮膚科の業務の合間をぬっての仕事ではとてもそこまではいかず,もっぱら受診相談という程度にとどまっている.外来の時間は1人40分で,予約料という形で3,150円いただいている.詳しい検査を複数の病院ですでにやっている患者さんが多いため,3人に2人くらいはまったく話だけとなる.3,150円いただいてしまうからには,40分お話をしなければ申しわけない.果たして40分ももつだろうか,逆に話が切れないときはどうしようかと最初は心配だった.でも,ふたを開けてみると結構40分でうまくいっている.その間,こちらはほとんど聞き役である.40分も話をしていても,専門外であるから新しい展開になることはあまりなく,やはり専門科に紹介するか,前医がある場合は,その先生の指示に従ってくださいということになることが多い.これでいいのかなと思うが,アンケートでは今のところ満足度は良好なようだ.
つい最近,病院でコーチング研修というのがあって,その中の1つのスキルとしての傾聴ということについての講義を受けた.共感的理解をもって聴くということが重要だが,そのためには相手がリラックスできる距離・位置関係をつくる,相手がリラックスできる雰囲気(表情・態度)をつくる,相手に「聴いている」ということが伝わるように相手をみる,身体を向ける(顔だけではなく),うなずき,相槌をしながら聴く,相手の話をさえぎらないことだという.傾聴のレベルとしては1から3まであり,1は聞き手の意識が相手のほうに向かず,話を聴きながら自分自身に向いている状態,2は聞き手の意識が100%相手に向いている状態,3は聴き手が相手の話を聴きながら相手の状態をもとらえている状態という.医療面接としてはもちろん3をめざしてほしいということである.振り返ると,私はいつも患者さんの話はよく聴こうと心がけているつもりではあったが,傾聴のレベルとしては,ほとんどは1だったかなーと思う.
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