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今回の日耳鼻総会では第125回記念講演として,頭頸部領域の過去25年間の進歩についてお話しさせていただきました。あらためて振り返ってみますと,診断ではNarrow Band Imaging(NBI)が外来診療で当たり前のように用いられ,早期がんに対するTOVSやELPSなどの内視鏡手術,da Vinciを用いたロボット支援手術,進行がんに対するシスプラチン同時併用化学放射線療法や超選択的動注化学療法併用放線治療(RADPLAT)など,さまざまな新たな治療法が標準治療として行われるようになりました。切除不能な局所進行・再発転移頭頸部がんに対しても,免疫チェックポイント阻害薬が相次いで登場し,局所治療としては,わが国発のホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とがん光免疫療法(頭頸部アルミノックス治療)が世界に先駆けて2020年に相次いで保険適用となっています。2019年からは頭頸部がんに対してもがん遺伝子パネル検査が保険適用となり,唾液腺がんや甲状腺がんに特異的な遺伝子異常をターゲットとした分子標的薬が続々と登場しました。この四半世紀の進歩は実にめざましく,最先端の医育機関で働いている我々でも専門分野の進歩に追いていくのが精一杯で,他の診療科の話となると全然自信がありません。
ということで,今月号の特集は「他科はこう診る! 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の症候」と題し,頭痛やめまい,視力障害や複視,眼瞼下垂や眼球突出,摂食・嚥下障害など,普段我々が診る代表的な症候について,関連診療科のエキスパートがどのようにアプローチされているのか解説していただきました。梅雨時の週末,本号を手にしてご自宅でお過ごしいただきたいと思います。
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