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先週は私の本拠地,神戸市のポートアイランドで「第75回耳鼻咽喉科臨床学会」が開催されました。「耳鼻咽喉科臨床の実践と教育」というキャッチフレーズどおり,聴衆参加型パネルディスカッション,卒後臨床や女性医師のキャリアアップについての特別企画など,阪上雅史会長(兵庫医科大学)のアイディアが随所に盛り込まれた充実した素晴らしい学会でした。私は気楽な立場でしたので,期間中は毎晩,関東から来られた恩師に神戸の味を堪能していただくことに専念していました。
さて,今月号の特集は「局所副腎皮質ステロイドの使い方」です。局所副腎ステロイドは経口投与や静注などと比べ,全身的副作用が少なく,高濃度の薬剤を病変に直接作用させることができる利点があり,とりわけ,妊婦や乳幼児など,全身投与を避けたい患者では非常に有用です。しかしながら,局所あるいは全身への副作用が全くないわけではなく,薬理作用の強さや使用量,使用期間には十分注意を払う必要があります。そこで本特集では,総論を東京慈恵会医科大学薬理学の川村将弘名誉教授にお願いし,日常臨床において局所副腎皮質ステロイドの局所投与が行われている代表的な疾患について,急性感音難聴を佐藤宏昭先生(岩手医科大学),メニエール病を肥塚 泉先生(聖マリアンナ大学),好酸球性中耳炎・副鼻腔炎を中川尚志先生(福岡大学),鼻アレルギーを神崎 晶先生(慶應義塾大学),嗅覚障害を三輪高喜先生(金沢医科大学),急性咽喉頭炎・嗄声を楠山敏行先生(東京ボイスクリニック),外耳道湿疹・他を杉本一郎先生(広島大学)に解説をお願いしました。いずれも副腎皮質ステロイド薬の作用機序や特徴,位置づけ,至適な投与方法,小児や妊婦,高齢者への安全性,使用上の注意点など解りやすく簡潔に記載していただいています。ぜひ,ご一読ください。
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