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あとがき
丹生 健一
pp.600
発行日 2022年6月20日
Published Date 2022/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411203079
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このあとがきが読まれるのは6月。小生が会長を務めた第123回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会が終了している頃ですね。多くの会員の皆様が,久しぶりに現地に集い,再会を楽しみ,神戸の魅力を堪能していただいていることを祈ります。肝心の講演会場から足が遠のいていたとしても心配はご無用です。6月15日〜7月31日までオンデマンド配信を行います。今からでも参加登録できますので,ぜひ,見逃したプログラムをオンデマンドでご視聴ください。
さて,今月号の特集は「頭頸部がんに罹患した患者さんに対する支持療法と緩和ケア」です。これまで,「頭頸部がんの支持療法」といえば,白血球の減少や腎機能低下への対策,嘔吐や吐き気への対応,疼痛管理や栄養管理と相場が決まっていました。しかし,ここ数年,免疫チェックポイント阻害薬やさまざまな作用機序の分子標的薬が登場し,甲状腺機能低下や間質性肺炎,下垂体炎,劇症1型糖尿病などの免疫関連有害事象,高血圧,皮膚障害,蛋白尿,神経症状,心機能障害など,従来,全く経験したことがない病態に出くわすようになりました。歯科との連携による口腔ケアに加え,内科や皮膚科との連携は不可欠となっています。一方,これまで緩和ケアといえば「看取り」が中心でしたが,現在では「がん」と診断がついたそのときから,心のケアが求められます。退院支援や転院支援も,終末期だけではなく,「治療が終わったら,どのようにしたら在宅で過ごすことができるのか」を念頭に置いて,治療計画を立てるようになっています。
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