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Case
【症例1】患者は64歳,女性。
1か月前より嗄声が出現した。咳はなく痰が出て,抗菌薬内服と吸入治療を行ったが改善しなかった。左仮声帯が腫脹し,一部潰瘍を認めた。声帯は正常で,頸部リンパ節腫脹はなかった。喉頭癌を疑い入院となった。胸部X線で上肺野陰影増強と右肺門に結節性リンパ節を認めたが,陳旧性結核と考えられた。擦過細胞診は陰性,抗酸菌塗抹検査陰性であり,呼吸器外科より陳旧性結核と診断された。入院8日目にラリンゴマイクロサージェリーを施行した。左仮声帯に硬い潰瘍があり,一部は瘢痕様であった。検体の細胞診では悪性所見陰性,細菌陰性であり,特殊感染症を疑った。ツベルクリン反応は中等度陽性で結核が疑われた。13日目に呼吸器科より結核疑いと診断され,患者を個室に移動し,14日目に生検の病理結果にて結核と診断された。粘膜組織内に類上皮性肉芽と多核巨細胞を含み,Ziehl-Neelsen染色で好酸性桿菌を少数認めた。その後16日目に呼吸器科にて気管支鏡を施行した。排菌はなく外来内服治療となった。治療後の喉頭所見は,左声帯から仮声帯にかけて瘢痕様のひきつれがみられた(図1)。
【症例2】患者は90歳,女性。
2か月前から嗄声が出現した。時折咽頭痛と咳嗽あり。声帯と喉頭蓋喉頭面に隆起性の白色病変を認めた(図2a)。頸部リンパ節腫脹はなかった。喉頭ストロボスコピー検査で病変部の粘膜波動はなかった。喉頭癌を疑い,ラリンゴマイクロサージェリーの予定で入院となった。ファイバー下擦過細胞診はclass Ⅱ,生検は炎症を伴う肉芽であった。胸部X線は両肺に多数の粒状影を認めた(図2b)。ツベルクリン反応は弱陽性で,胸部CTでは両肺に結節多数,一部石灰化を伴うが,活動性の否定は困難とのことであった。喀痰検査でまず非定型抗酸菌が検出された。これは反復することで確定診断となるため,検査を繰り返し,さらに病変部抗酸菌検査の結果,結核が確定した。ガフキー2号であった。その後,患者は結核専門病院に転院のうえ治療を受けた。
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