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特集 見逃してはならない耳鼻咽喉科疾患—こんな症例には要注意!
《口腔・咽喉頭・頭頸部領域》
突発性反回神経麻痺だと思ったら解離性大動脈瘤だった!
Dissecting aortic aneurysm behind the paroxysmal recurrent laryngeal nerve paralysis
真栄田 裕行
1
Hiroyuki Maeda
1
1琉球大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
pp.1046-1049
発行日 2018年11月20日
Published Date 2018/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201875
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Case
患者:73歳,男性
主訴:嗄声
現病歴:当科受診日の2か月前に突然嗄声が出現した。近医内科を受診したが咽頭炎との診断で,抗炎症薬のみで経過観察されていた。数週間経過しても改善しないため近医耳鼻咽喉科を受診した結果,左の声帯麻痺を指摘され,精査目的に当科へ紹介となった。
既往:高血圧,糖尿病
家族歴:特記事項なし
生活歴:〔喫煙〕20本/日×50年,〔飲酒〕ビール700mL/日×30年+泡盛2合/日×25年
初診時現症:嗄声は気息性嗄声であり,GRBAS分類でG3 R0 B3 A0 S0であった。その他,鼻・口腔および頸部に異常所見はみられず,また自覚症状も嗄声以外の訴えはなかった。
喉頭内視鏡所見:左声帯は開大位で固定しており,声帯遊離縁の弓状変化が認められた(図1a)。声帯粘膜に炎症や腫瘤性病変はみられなかった。
画像所見:頸部超音波検査では甲状腺に腫瘤性病変などはみられず,また頸部リンパ節の腫大もなかった。胸部単純X線写真において,心陰影の左第1弓の拡大が認められた(図1b)。この時点で肺あるいは縦隔の悪性腫瘍を疑い,胸部造影CTが施行された。ところがCT画像上,大動脈弓部の血管壁の膨隆および,周囲への血栓形成が確認された(図2)。
診断:弓部解離性大動脈瘤
治療:準緊急的弓部人工血管置換術
経過:全身状態は術前の状態に復したが,声帯麻痺の回復はみられていない。ただし嗄声は若干の改善がみられた。今後,音声改善手術が予定されている。
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