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特集 見逃してはならない耳鼻咽喉科疾患—こんな症例には要注意!
《口腔・咽喉頭・頭頸部領域》
咽後膿瘍だと思っていたら川崎病だった!
Kawasaki disease mimicking retropharyngeal abscess
磯山 恭子
1
Kyoko Isoyama
1
1松戸市立総合医療センター耳鼻咽喉科
pp.1054-1057
発行日 2018年11月20日
Published Date 2018/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201877
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Case
患者:6歳,女児
主訴:右頸部腫瘤,頸部痛,発熱,咽頭痛
4日前に38℃台の発熱,頸部・耳の痛みが出現した。翌日に咽頭痛も出現し,近医を受診し,セフジトレン ピボキシルの内服を開始するも改善せず,夜間診療所でA群溶連菌検査,アデノウイルス迅速検査を行ったがともに結果は陰性であった。経口摂取不能となり,当院へ紹介され,入院となった。
圧痛著明な右頸部リンパ節腫脹,右鼓膜発赤,右耳下部発赤を認め,頭部は斜頸位で固定し,開口障害,軽度の流延を認めた。
WBC 21800/μL(seg 88%),CRP 27.1mg/dL。造影CTで,咽後間隙右側に長径約1.6cmの辺縁が淡く造影される腫瘤陰影と,咽後間隙に一部辺縁が造影される低吸収域を認めた(図1)。頸部リンパ節炎,咽後膿瘍を疑い,セフォタキシム(CTX)の点滴を開始した。翌朝解熱したが,夕方には再度発熱した。さらに眼球結膜の充血が認められ,入院3日目に足指の硬性浮腫が出現し,川崎病の主要症状が5/6となった。川崎病の診断で,免疫グロブリン静注療法(IVIG)2g/kg単回投与とアスピリン(ASA)30mg/kg/日を開始し,CTXは中止した。その後,解熱して症状は改善し,斜頸に対し環軸椎回旋固定の診断となり,保存的治療を行い32日目に退院となった。経過中,心臓超音波検査,心電図に異常はなかった。
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