特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
II.癌性疼痛
末期癌患者における疼痛の看護
山口 世志美
1
,
飯田 たけ
1
,
古田 洋子
1
1愛知県がんセンター頭頸部外科病棟
pp.857-860
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200426
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はじめに
末期癌患者にみられる痛みは,身体的・精神的・社会的因子が複雑に絡み合って,その人を包括して現れる。なかでも,頭頸部末期癌患者は手術により,失声・構音障害・嚥下障害や顔貌の変化などの障害をきたしていることが多い。その上,病巣部が外部から見えるため,病気の進行は,おのずと自分の目で確認することになる。コミュニケーションの困難さ,味わって食べられないこと,ボディ・イメージの変化は,特に精神的苦痛を深め,痛みとして表現されると考える。
頭頸部末期癌患者の痛みは,癌性疼痛治療の認識を高め,適切な与薬法を用いることと,患者の精神的側面を支える看護ケアを行うことで効果を現す。癌の痛みを緩和することは,その人がその人らしく有意義に生きることへの援助である。これは家族と医療者の円滑なチームワークがあって成立し,より良い援助となる。
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