特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
II.癌性疼痛
症状の経過と痛み
臨床的特徴
近藤 隆
1
,
河辺 義孝
1
1愛知県がんセンター頭頸部外科
pp.805-808
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200416
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はじめに
一般的に疼痛はその出現により,早期に生体に危険を知らせるサインとして,また危険からの逃避行動へのシグナルとして(急性疼痛),ある意味では生体にとって有用な働きをするものであるとも言われる。
癌性疼痛においても勿論,初期の痛みは疾病の存在を知らしむる働きをすることになる。これは頭頸部癌患者にてしばしば無痛性の頸部の腫瘍や口腔内病変,腹声,咳嗽を無視し,いずれかの部位に痛みが出現して初めて受診する場合のあることからも生体防御機構のひとつとして役立っているのは理解できるし,さらに痛みの増強は癌の再発,転移の重要な臨床的サインでもある。
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