診療相談室
末期癌患者に対する免疫療法
古江 尚
1
1癌研究会附属病院・内科部
pp.838
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206008
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質問 末期癌患者に対する免疫療法,とくに丸山ワクチン,溶連菌製剤についてご教示ください.(東京都 N生 27歳)
答 癌の化学療法は,その理論的基礎を癌の寄生観においている.癌の発生に伴って,それに対応する抗体が出現しうる.しかし癌細胞は宿主にとってhomologousであり,これに対する生体の反応ははなはだ弱い.癌細胞の抗原性を高めるとか,あるいは対応する生体の反応性を高めるといった措置がとられているが,癌の免疫療法には本質的限界がつきまとっている.免疫療法は癌においては,結局は他療法の補助的位置にとどまるしかないであろうというのが大方の予想である.しかし癌化学療法剤の開発に大きな障害の感じられる今日,それをのりこえるための1つの着想として免疫療法が学界の注目を浴びているし,すぐれた抗癌剤の開発は,免疫療法の併用によって,癌を征服するものと期待されている.
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